2010年11月13日土曜日

シネマアフリカ・オープニングナイト in 椿山荘

12日金曜日の夜、急ぎの仕事がひとつ終わったので、息抜きを兼ねて
「シネマアフリカ2010」のオープニングナイトに行ってきました。

ライトアップされた庭園

 
これは、本日13日から東京国立近代美術館フィルムセンターで開かれる
アフリカ映画祭のオープニングセレモニーを兼ねた上映会。
フィルムセンターでは25日まで、長編・短編・ドキュメンタリーを合わせて32本が
上映されるそうです。
http://www.momat.go.jp/FC/Cinema2-cinemaafrica/kaisetsu.html

アジア、インド、ラテン映画と、ブームが来たので(中近東映画は不発だった?)
次はアフリカンシネマ、ということなのか……。
 
              昨日の会場の様子。      
アフリカ各国の大使館が協賛しているのでアフリカンの方も多かったようです。     


                         まずは来日された監督さんたちの挨拶。
         
昨日、椿山荘で上映されたのは、イギリス、南アフリカ、ルワンダの合作映画
『アフリカ・ユナイテッド』。
監督はデブス・ガードナー・パターソンという、台湾生まれ、イギリス、東アジア、
インド育ちのインターナショナルなイギリス人女性。
母親がルワンダ生まれだそうです。


映画のあらすじは、
南アフリカで開かれる2010年ワールドカップの開会式に招待される
「エスコート・キッズ」の選考会に参加するため、サッカー少年と
その仲間の少年少女3人がルワンダから南アフリカまでの5000キロの
道のりを自力で旅する物語。

旅の途中でゲリラに襲われそうになったり、
カバやヒョウやライオンに遭遇したり、
少し影のある元少年兵や売春少女が仲間に加わったりと、
さまざまな冒険を乗り越えて、途方もない道のりを進んでいきます。

映画にはエイズや貧困、民族紛争などの社会背景が織り込まれていますが、
画面からは子供たちのたくましい生命力とアフリカの大地のパワフルな息吹が
ヴァニラとスパイスのむせ返るような香りとともに見る者に伝わってきます。
(会場にはそうしたアフリカンな香りが充満していたのです。)

挿入されたエスニックアートっぽいアニメーションも
独特のキッチュな持ち味でアフリカンムードを盛り上げていました。

テンポのいい、ユーモアあふれるアフリカン・ロードムービーと
いったところでしょうか。
(『アフリカ珍道中』ほど、ドタバタコメディではないけれど。)

とはいえ、やはり考えさせられる部分もあります。

冒頭では、主人公の少年が避妊具を風船のように膨らませ、
それに荒縄を亀甲状に巻いてサッカーボールにしたものを、
威勢よく蹴り上げるというインパクトのあるシーンが登場します。
(このあたりのつかみは見事。)

エイズ蔓延という暗い現実を吹き飛ばす風刺的な演出ですが、
少年自身が生まれながらのHIVキャリアであったという事実が
のちに判明することで、それが単なる社会風刺ではなく、
もっと現実味を帯びた少年の訴えだったことがわかるのです。
民族虐殺やエイズ、飢餓など、彼らがつねに死と隣り合わせで
生きていることをあらためて感じさせられます。
(彼らだけでなく、本当はこの世の誰もが死と隣り合わせなのだけれども。)

5000キロの道のりを自力(おもに徒歩とヒッチハイク)で行くと言い張る
少年の言葉「Impossible is nothing!」が印象的でした。


今回フィルムセンターで上映されるアフリカ映画の中で気になったのは
『CUBA: An African Odyssey』というドキュメンタリー映画。
冷戦時代、アフリカにおけるアメリカの影響力の拡大を食い止めるため、
キューバがアフリカに派兵して、各国の革命軍を支援し、アフリカ大陸に
進出していく様子が描かれているそうです。
コンゴ革命軍を指揮するチェ・ゲバラの姿や、
ジープに並んで座るネルソン・マンデラとフィデル・カストロの写真が
パンフレットに載っていて、興味をそそります。
(この映画は今月16日と25日にフィルムセンターで上映予定。)



ホテルのロビーでは、「奈良フェア」が開催されていました。

奈良の大仏の手のひらのレプリカ
        


美味しそうな地酒

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