2010年8月12日木曜日

建築はどこにあるの? 7つのインスタレーション展

 最近、建築系のビジュアル本を翻訳したこともあり、先週の日曜日、東京国立近代美術館で開催されていた『建築はどこにあるの? 7つのインスタレーション』展に出かけた(この日は最終日)。

 展覧会のタイトル「建築はどこにあるの?」は来館者への問いかけ。各自が7つのインスタレーションに触れるなかで、その答えを見つけていくという趣向らしい。
 パンフレットに「あなたの答えを写真におさめよう!」とあるように、写真は撮り放題。デジカメ片手に撮りまくったおかげで、ただ見るよりも違った形で楽しめた展覧会だった(一眼レフを手にした若い女性も多かった)。

               中村竜治『とうもろこし畑』

     紙でできたこの構造物。ちょうどトウモロコシ畑の高さに作られていて、
     見る角度によって「向こう」の見え方が変化していく。




中山英之『大草原の大きな扉』

北海道の大草原に「カフェ」として設計された建築の3分の1の模型。草原の両側に「どこかにつながっていそうな」扉が開いている、という構成。


                      鈴木了二『物質試行51 DUBHOUSE』

    建築家いわく、「『DUBHOUSE』は何処にでも行ける建築」であり、
    「事物の境界を揺さぶり、輪郭線を消す」。



                内藤廣『赤縞』

      赤いレーザーに刻まれた暗い空間を通っていく。
      そうすることで、「人間が動くことで『空間』が生まれることに
      気づくのではないか」と建築家は言う。
      いつもは見えていない空間の抽象性を体感するための装置だそうだ。


                 菊地宏『ある部屋の一日』その1

  ちょっと分りにくいかもしれませんが、中央にあるのが部屋の内と外の模型。
  その周りをカメラがライトで照らしながら回っています。
  (太陽の一日の運行を模しているそうです。)


              菊地宏『ある部屋の一日』その2
           ライトに照られれた部屋の内と外の模型。
 
      そのカメラがとらえた映像が、次の展示室で映写されている。
 
           菊地宏『ある部屋の一日』その3

  このような二重の仕掛けによって、「自然光の入らない空間で、
  自然光をテーマにする」という難題を作品化することに成功した。
  そのアイデアに脱帽! 
  映像に対面する形でベンチが並べられていたので、
  縁側でゆったりと庭を眺めているような気分を味わうことができた。

 
 
            伊東豊雄『うちのうちのうち』
 
 
    現在進行中のプロジェクト「今治市伊東豊雄建築ミュージアム」の
   約2分の1のスケール。
   つまり、「美術館のなかにもうひとつの美術館」をつくったのが、
   今回の作品『うちのうちのうち』だ。
   垂直の柱や壁がまったくない、多面体の構造物となっている。



                    アトリエ・ワン『まちあわせ』

    キリンとゾウとカバさんと美術館の前で待ち合わせ、という楽しい作品。
 

       なぜかクマさんも展示されていた。これがいちばん気に入った!?
 
 
……結論、建築はどこにもなかった。