先週の金曜日、表千家ゆかりの茶懐石の名店、「柿傳」(@新宿)で
ランチをしました。
川端康成の直筆
「柿傳の茶席は東京に一つの名物となるでせう」
という言葉を川端康成は残しています。
表千家家元而妙斎御銘「松の翠」(純米大吟醸、伏見)
ガラス杯に注いだ瞬間から甘い芳香が立ち昇るほど、芳醇な銘酒。
透明度がきわめて高く、梨のようなフルーティーな香りと甘みがあり、
ひとくち口に含むだけで、うっとりとした幸せな気分が体じゅうに広がります。
夏にぴったりの、清涼感のある美味しいお酒でした。
二合目は、山口県旭酒造の「獺祭(だっさい)」(純米大吟醸)。
こちらも山田錦を50%まで磨いた、非常に香り高い美酒でした。
先付:(右)寄せ無花果(いちじく)、モロコシ味噌
(左)鱧皮、胡瓜(大葉、胡麻、生姜酢)
寄せ無花果とは要するにイチジクのゼリー寄せ。
鱧皮は、コラーゲンたっぷりなのが嬉しい(笑)。
向付:鯛と縞鯵
これ、すっごくおいしかったです。お酒が進むのなんのって……。
弦楽器(琵琶?)の向付皿が夏の怪談を連想させます。
ちょっとした遊び心ですね。
煮物椀:海老入枝豆真蒸、雲丹素麺、椎茸、柚子
茶懐石のメインディッシュにあたるのが煮物椀。
亭主が最も心をこめ、料理人が最も力を入れる一品です。
御出汁は京風の上品な味でとても美味しかったです。
(ただ、ウニの味も香りもしない雲丹素麺は美観的にも
ないほうがよかったかもしれません。)
焼き物:福子柚庵焼、青唐、山桃
福子は、出世魚である鱸の稚魚で、おめでたい魚らしいです。
脂がほどよくのっていて、焼き加減も完璧でした。
揚物:鱧紫蘇揚、苦瓜二身揚、れんこん梅肉揚、赤ピーマン
炊合せ:南瓜、茄子揚煮、身欠にしん、オクラ
ご飯、香の物、汁(焼目付湯葉、粉山椒)
香の物は、これも京風の薄味でわたし好みでした。
柿傳特製の紅白干菓子(「柿」の字の印)と御薄
抹茶は小山園の「和光」で、とても甘みがありました。
茶碗は角筈(つのはず)焼で、片岡哲という作家さんのもの。
角筈焼とは、ここ新宿、柿傳角筈窯で焼かれた焼き物のことだそうです。
(新宿の土で焼いたのでしょうか?)
琴の調べが流れる落ち着いた店内。
新宿(駅から徒歩1分)とは思えない静けさのなか、美味しいお食事と
お酒、そしてお茶をゆったりと堪能した至福のひと時でした。