2012年2月21日火曜日

江戸時代の化粧

先週に引き続き、一昨日も東博へ行ってきた。

色ガラスのように透き通った青い空

トルコブルーの琺瑯の壺をもう一度見ておきたかったのだけれど、この日は北京故宮博物院展の最終日だったので、あまりにも人が多く、断念。
代わりに、常設展をじっくりまわることにした。
利休が所有したとされる備前焼の水差しや、高村光雲の《老猿》(どうしてこれほどの作品が国宝でないのか不思議)など、見ごたえのある展示品が盛りだくさんで、いつもながら楽しめた。


今回、特に面白かったのが、本館16室で展示されていた江戸・明治時代の化粧法の和本だ。

都風俗化粧伝 佐山半七丸著、速水春暁画、1813年


都風俗化粧伝


1世紀以上にわたり女性たちに愛読されたロングセラー。
肌や髪の手入れ法、眉や目のメイクアップ、顔立ち別の化粧法、化粧品の作り方などが紹介されている。
展示品は初版本。版木は関東大震災で焼失するまで使われていたそうだ。



伊勢家祝之書 伊勢貞丈、明治10年(1877年)

江戸時代中期の故実家、伊勢貞丈による礼法書。髪の生え際を白くするために、軽粉(はらや)という水銀白粉が用いられたという。




人倫訓蒙図彙 元禄3年(1690年)

江戸時代の生活百科。
図の「蘭麝(らんじゃ)粉」とは、顔の脂落としの洗い粉で、使用すると色艶がよくなるとされた。




江戸買物独案内 文政7(1824)年

江戸の有名店を紹介したショッピングガイド。
2622店舗が掲載されているなかで、化粧品関係の店は86軒もあったという。



『江戸買物独案内』の「髪生薬」。うーん、いつの世も……。


『江戸買物独案内』の「団十郎歯磨き」

瓢箪屋の「団十郎歯磨」の宣伝。
4代目団十郎にちなんで「鎌輪ぬ」を商標にした看板を掲げている。
口上は、初代三笑亭可楽のもの。



桃の節句が近いこともあり、常設展では雛人形関係の展示もあった。

紫檀象牙細工蒔絵雛道具 江戸時代

タイトル通り紫檀に象牙細工と蒔絵を施した、精緻で贅を尽くした雛道具。
当時としてはきわめて貴重だった、硝子(ギヤマン)のグラスまでついている。
保存状態も、江戸時代のものとは思えないほど。
いったいどのような「御姫様(おひいさま)」のためにつくられたのだろう。
見ていてため息が出た。



絵画の展示室には、大好きな橋口五葉の版画も3点紹介されていた。

甘い香りが漂う美人画にしばしうっとり見入る。
ロセッティとミュシャを足して2で割って和風にしたような、優美で清楚な大正美人だ。

髪梳る女 大正9(1920)年







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