2011年8月27日土曜日
孫文と梅屋庄吉展へ
夏休みなので人ごみを避けるべく、東京国立博物館で開催されている比較的地味な『孫文と梅屋庄吉展』へ行ってきた。
しかし意外にも、会場はかなり混んでいた。
わりと人気のある企画なのだなと、少しびっくり。
この展覧会は、辛亥革命を起こして中国の近代化を推し進めた、中華民国&中華人民共和国の「国父」孫文と、日本に亡命した孫文を物心両面にわたって支援した日本映画のパイオニア梅屋庄吉を中心とする人々の写真展である。
20世紀初頭の紫禁城や北京の様子、孫文をはじめ胡漢民、許崇智、蒋介石などの革命家の写真が展示されていた。
印象的だったのは、孫文と梅屋庄吉それぞれの筆による「書」だ。
孫文が書いたのは「同仁」という言葉。
これは、唐宋八大家の一人である韓愈の「聖人一視、而同仁、篤近而挙遠(聖人は一視にして同仁、近くを篤く遠きを挙ぐるなり)」に由来する言葉で、差別なくすべてのものを平等に愛することを意味する。
いっぽう、梅屋庄吉の書には「積善家」と書かれていた。
「積善家」とは、『易経』の「積善之家、必有余慶(積善の家には、必ず有慶あり)」からとってもの。
両者の生き方や心構えを見事に反映した言葉である。
当時の中国の革命家には日本に留学や亡命した人が多かったし、彼らを手厚く遇し、支援した日本人も少なからずいたことを改めて実感させられた。
つまり、かつての中国の思想的エリートたちは日本に目を向けていたことになる。
それに引き換え今はどうだろう。
日本に留学したいと思う中国の思想的エリートなど、はたしているのだろうか。
そんなことを考えながら、この展覧会を後にした。