2010年5月27日木曜日
永遠の微熱少年
今日、NHKの松本隆特集を見て、真っ先に感じたのが、
松本さん、もう60なんだ、という率直な驚きです。
でも人のことは言えません。
かくいうわたしも不惑を過ぎたのですから、
松本さんが還暦を過ぎるのも当然といえば当然ですね。
松本隆さんの歌が流行っていたのは、80年代、わたしが十代のころ。
当時は彼の詞が特に好きでも嫌いでもなかったと思います。
ただ、街でよく流れていたというそれだけの理由から、
必然的にわたしの青春時代のBGMになったのですが、
大人になって聴いてみると、
彼の詞ってほんとにいいなあとしみじみ思います。
特に好きなのが、松田聖子の「瞳はダイヤモンド」と薬師丸ひろ子の「Woman」。
なつかしい……。
失恋や片思いをしているときによく聴いたものです。
わたしにとって心の甘い痛みを癒してくれる、処方箋のような歌でした。
とにかく泣けるのです。
涙を流しながら、甘美な自己陶酔に浸ったものです。
彼の詞は、たとえそれが失恋ソングであっても、報われない恋の歌であっても、
どろどろした情念やじめじめした悲哀やうらみつらみとは無縁で、
ガラスとかダイヤモンドとかルビーとか、雨とか涙とか、
どこか無機的なキラキラした透明感にあふれていて、
その歌を聴くと、脳内で美しい映像が流れてノスタルジックな映画を
観ているような気分になれるのです。
久しぶりにテレビで拝見して思ったのですが、
その詞がいつまでも色あせないように、松本さん自身も
永遠の微熱少年なのかもしれません。