八雲庵に隣接する田部美術館へ。
ここは、地元の名士(衆議院銀、島根新聞社長、島根県知事を務めた)だった
田部長右衛門が設立した美術館。
おもに田部家伝来の茶道具コレクションが収蔵されているそうです。
不昧公愛蔵の品々や不昧公作の書、花入れ、茶杓も多いと聞いて、
期待を胸に、いざ中へ。
長屋門をくぐると、入口まで続く渡り廊下の左手に
美しい庭園が広がっています。
左側に見えるのが、長屋門の住居部分。
旅館のロビーのような美術館のエントランス。
小原流の絵画のような燕子花。
茶花をあしらった花入れの展示。
蔓植物の優美な影を生かした照明にも注目!
(最近、照明デザインの本を訳したので、アート作品の照明に目がいきます。)
ひだすき茶盌
この美術館では、毎年「田部美術館大賞」を開催して、中国・四国地方の新進陶芸家に発表の場を提供しているそうです。
第1展示室には、入賞した作家さんの作品が展示されていました。
やはり備前焼が多かったようです。
第2展示室では、季節の茶席を意識した茶道具が陳列されています。
この日のテーマは、「若葉さわやか」。
不昧公筆の一行物。
「三級浪高魚化龍(三級浪高うして、魚、龍と化す)」。
三級とは、三段になった高い滝のことで、中国の登竜門にある滝を指します。
つまり、魚が滝を登ると龍になるという「登龍門」の伝説に由来する禅語ですね。
流れ落ちる滝を鯉が昇っていくような動きのある書の筆致が絵画的。
ほとばしる水が感じられて、まさに主題通り、爽やかな気分になります。
花入れは、第12回大賞を受賞した作家さんの作品。
唐物朱桃(明時代)の香合
なんというか、おしりみたいで可愛い。
初代宮崎寒雉作(江戸時代)小雲龍釜
第9回大賞を受賞した作家さんによる備前の水指
瀬戸禾目 銘「田邉」茶入(不昧公の御銘)
不昧公好み利休形塗 (三十之内)
春斎作 木賊蒔絵面取中次(江戸時代)
モダニズム建築を思わせる内装
喫茶室では、お菓子と抹茶をいただきながら庭園を眺めることができます。
庭園右端は、創設者の田部長右衛門の銅像。