2010年6月12日土曜日
オルセー美術館展:スーラと新印象主義
第2章 スーラと新印象主義
点描画のスーラとシニャックが中心のコーナー。制作年代順に展示されているので、スーラの初期の掃くようなタッチから、しだいに細かい点のようなタッチになっていく点描画法の模索の軌跡が分かって面白かった。
スーラの円熟期に描かれた『ポール=アン=ベッサンの外港、満潮』は、細密な点描といい、水平線と平行に走る防波堤の線とヨットのマストの垂直線と入江のなだらかな曲線が織りなす構図といい、新印象派の真骨頂ともいうべき作品。
ポール・シニャックの『井戸端の女たち』
スーラの亡きあと(この絵が完成したのはスーラが夭折した翌年)「これからは自分が新印象主義を背負っていくぞ!」というシニャックの意気込みを反映するかのように、画面中央から上方の灯台に向かって小道がうねるように勢いよく続いていくのが印象的だった。
その後シニャックの画風はスーラのそれとは少し異なる、独自のスタイルへと変化する。たとえば『マルセイユの港の入口』。
ここでは丸い点の寄せ集めではなく、四角い大まかなタッチで描いたモザイク状の画面となっている(これはフォービズムの画家に受け継がれていくそうだ)。
個人的には、点描画法よりもこのモザイクのような画風のほうが神秘的な雰囲気に包まれていて好きかな。
第3章 セザンヌとセザンヌ主義
セザンヌの静物画やサント=ヴィクトール山など、セザンヌ臭ムンムンのコーナー。
同時代の画家と後世に多大な影響を与えた美術界の革命児、セザンヌ。彼についていろいろと論じられていることを反芻しながら頭で鑑賞し、頭で感動した。