2012年6月3日日曜日

椎名誠講演会 ~世界で見てきた自然と人間~

比較的涼しい日曜日、近所で開催された椎名誠さんの講演会を聞きにいった。


椎名誠さん著作展示

今日は紫のサマーウールに青い博多帯、紺の帯締めと水色の帯上げで、夢ねこ的には紫陽花をイメージしたコーディネートのつもり。

雨上がりの道を歩くこと5分、会場に到着。


講演会のポスター

ほとんどアドリブ的なノリだったが、世界の辺境を旅したときのことや、お孫さんのこと、水資源のこと(これについては著書『水惑星の旅』にくわしい)、世界の核のこと、葬送法のことなど、話題は多岐にわたり、とても面白いお話だった。

椎名さんは人間的な魅力にあふれるスケールの大きな(それでいてとっても自然体の)人なので、そのありあまる生命エネルギーが会場の隅にいた夢ねこにもびんびん伝わってきた。

特に印象に残った話をメモ的に箇条書きすると、

(1)インディオやイヌイットの人たちと生活を共にしたときに食べたもの。
サルの肉、ヘビの肉、アザラシ、アザラシの腸のなかの消化物など。

(2)ワイルドなものを食べた時の寄生虫問題や、アナコンダ、電気ナマズ、
肉食ナマズなどの危険な動物の話。
とくに、この肉食ナマズはピラニアよりもはるかに獰猛で(椎名さん曰く「見るからに厭らしいヤツ」)、人間が川で用をたすときに、川にそそがれる小水を「鯉の滝のぼり」のように昇り伝って人間の尿道に侵入し、膀胱を食い漁って宿主を死に至らしめる、というのだから恐ろしい。

(3)中国の開放トイレの話
かの有名な、仕切りも扉もない、あけっぴろげな中国のトイレ事情の話。
かくいう夢ねこも大学時代、中国に語学留学をするつもりで、手続きまで済ませたのだが、この開放トイレが障害となって留学を断念した。どうしてもムリ~~~!


(4)中国で去年極秘に行われた核実験の話
シーナさんたちが新疆ウイグル自治区を探検・取材中に、中国当局からカメラやビデオの撮影を禁じられたという。その時は理由については知らされなかったが、後になってシーナさんは、自治区で(人の居住区で!)地表核実験が行われたから撮影禁止になったのだと(日本の原発事故との関連から)悟ったそうだ。

もう、ほんとうに、こういうことはやめようよ。
居住区で地表核実験!
イランを非難する権利など、欧米や中国などの大国にはまったくない。
日本でも、なし崩し的に原発が再稼働されてしまうだろうし。
どうすればいい? 
いったい、どうすればいい?

(5)世界の葬送法と日本の戒名
世界の風葬や鳥葬に比べて、お墓が多くの国土を占める日本の現状の問題。
「このままでは役場と墓場だけになる」という過疎地のお取り寄りの声。
金もうけ主義の高額な戒名代と世界一高い日本のお葬式代&法要代。

たしかに、夢ねこも同感だ。
鳥や獣に死体を食べられるのは、ちょっとグロテスクなので、なるべくならそうならないほうがいいけれど、自分が死んだら、小さな骨壺に入れられ、狭苦しい土の中に埋められ、おまけに重い墓石まで載せられると思うと……考えただけでも息苦しくて、窒息死しそう。
それよりも、軽やかな灰になって、自由に海か山に散骨されたい。
ヒエラルキーのある戒名なんていらない。
死んでからまで階層制にとらわれたくないもの。



椎名さん関係資料の展示


夢ねこは完璧なインドア派で「無菌状態で生きてきた」とよく言われるけれど、椎名さんの講演を聞いて、少しだけワイルドになった気がした(気分だけ)。
















NHK短歌佳作 ~短歌セラピー4~

                                  
 いつかまた戻ってみたい屋根裏の
          ドアから過去へ、あの異次元へ





子どものころから繰り返し見る夢がある。

自宅(何の変哲もない普通の住宅)の押し入れやクローゼットの中、天袋の上にぽっかり穴が開いていて、そこから階段や抜け道がのび、それまでその存在にまったく気づかなかった秘密部屋や薄暗い座敷に続いている。
未知だったはずなのに不思議なほど既知感のあるノスタルジックな室内空間がひろがっているのだ。
(子宮回帰願望のバリエーションだろうか。)


この「平々凡々な日常からの空間的逸脱」というコンセプトがとても気に入っていて、この種の夢を見た日は何となくウキウキした気分になる。


屋根裏を題材にした作品には、乱歩の『屋根裏の散歩者』やアラン・ガードナーの『ふくろう
模様の皿』などがあって、これらは夢ねこの子ども時代に多大な影響を与え、それが夢にも作用したのかもしれない。

屋根裏や座敷牢と人間心理の関係を分析した春日武彦の『屋根裏に誰かいるんですよ。』には、「幻の同居人」と呼ばれる虚構の存在と共同生活を送る心を病んだ人々の例が語られている。

夢ねこも、この先一人暮らしをすることがあったら、幻の同居人の存在を妄想して、ぶつぶついいながら一緒に暮らすのだろうか。
それも悪くないかもしれない。


この歌は、「NHK短歌」2012年2月号に佳作として掲載されました。
題は「裏」。
選んでくださったのは、坂井修一先生です。

ありがとうございました。













NHK短歌佳作 ~短歌セラピー3~



いまはもうなにも思わずただ生きて時間薬を飲んで待つだけ





時の流れは残酷だけど、最大の癒しでもある。




この歌は、佐伯裕子先生に佳作として選んでいただきました。
題は、「間」。
「NHK短歌」2012年1月号掲載。

ありがとうございました。

































NHK短歌佳作 ~短歌セラピー2~




脳といふ入れ子の迷宮さまよへりアリアドネの糸手繰りたれども





ほんとうは、もっと自由になれるはずなのに、自由になれない束縛感、息苦しさ。

縛っているのは、だれ? 
呪縛の根源は、なに?

それは自分。
自分の思い、感情、願望、思考……。
脳!
自己意識を意識する入れ子構造。

自分で自分の脳にとらわれ、身動きできなくなっている。
クレタ島のラビリンスからテセウスを救ったアリアドネの糸を手繰っても、
抜け出せない脳の迷宮。

「自分」から自由になれる日は、来るのだろうか。


この歌は、「NHK短歌」2011年11月号に佳作として掲載されました。
選者は坂井修一先生。
題は「迷う」。

ありがとうございました。





2012年6月2日土曜日

西荻茶散歩(チャサンポー)

6月最初の土曜日、西荻窪で開催されている「茶散歩(チャサンポー)」に行ってきた。     
http://chasampo.com/



チャサンポーとは、西荻界隈84の店舗がお茶のサービスやさまざまな特典を提供して、多くの人に西荻窪の魅力を知ってもらう、という趣旨のイベントだそうだ。

曇り空で、風が涼しく、着物でお散歩するにはちょうど好いお天気だった。
(今日は叔母から譲り受けた薄手の単衣紬を対丈で着て、献上柄の帯でまとめた。今年はなるべく服を買わずに、手持ちの着物を着倒すことに決めたのだ。)


盛林堂書房では、倉敷の蟲文庫や林哲夫さんhttp://sumus.exblog.jp/たちが1店舗1段で参加する「ミニミニ古本市」が開催されていた。

店主・田中美穂さんの著作『わたしの小さな古本屋』で蟲文庫の存在を知って以来、カリガリ博士の書斎のような不気味チックな店の佇まいに惹かれて、蟲文庫にはいつか行ってみたいと思っていたのでちょうどよかった。

盛林堂店頭の100円均一コーナーには豪華な画集や函入りの文芸書なども並んでいて、かなりの大盤振る舞い(?)。 チャサンポーにかける店主の意気込みとこだわりが伝わってくる! 
(藤島武ニの画集を買っておくべきだったと、激しく後悔。)


雑貨店や古書店、ギャラリーなどをぶらぶらとひやかしながら散策。
骨の本数の多い蛇目風の和傘を見つけて、着物に合いそうなので買い求めた。

……が、かなり重くて、大きい。
さした時に、人の迷惑にならなければいいが。


そうこうしているうちに、たどり着いたのが、一欅庵(いっきょあん)。

一欅庵の表構

一欅庵は昭和8年に建てられた登録有形文化財の建物で、この日は、和民具や和小物の展示、書道点などが開催され、茶室では有料で呈茶のサービスもおこなわれていた。



廊下から見た茶室


この茶室では、お茶のお稽古もおこなわれているらしい。
また、お茶が習いたくなった……。


緑生い茂るお庭のつくばい



昭和の時代から時が止まったようなセピア色の子供部屋




アールデコのステンドグラスの窓



この家を建てた辻太一の書斎







こういう古い素敵な建物が残っていてくれて、ほんとうに嬉しい!

経年による劣化もさることながら、去年の震災時には壁の亀裂や剥落があったそうだ。
(HPより、http://www.leia.biz/atelier/atelier_syuri.html
建物の修復・維持に努めておられるオーナーご家族には頭が下がる。



西荻には個性豊かな店主が経営するユニークなお店がたくさんあるので、興味がある方はぜひ足を運んでみてください。
(夢ねこもこの町が好きになりそうです。)