脳といふ入れ子の迷宮さまよへりアリアドネの糸手繰りたれども
ほんとうは、もっと自由になれるはずなのに、自由になれない束縛感、息苦しさ。
縛っているのは、だれ?
呪縛の根源は、なに?
それは自分。
自分の思い、感情、願望、思考……。
脳!
自己意識を意識する入れ子構造。
自分で自分の脳にとらわれ、身動きできなくなっている。
クレタ島のラビリンスからテセウスを救ったアリアドネの糸を手繰っても、
抜け出せない脳の迷宮。
「自分」から自由になれる日は、来るのだろうか。
この歌は、「NHK短歌」2011年11月号に佳作として掲載されました。
選者は坂井修一先生。
題は「迷う」。
ありがとうございました。