2011年8月27日土曜日

東博常設展 ~仏像~

不動明王(木造・平安時代)
常設展は夏休みでも空いている穴場。
ゆっくりと見てまわることができた。

この不動明王は平安時代(11世紀)のものだけれど、鎌倉時代のものかと思うほど、写実的で気力がみなぎっている。
新時代の到来を予感させる迫力のある作品だった。



不動明王の邪鬼

不動明王の腹部にある獅噛(しがみ)と踏みつけている邪鬼の姿もユニーク。



天王立像(平安時代、10世紀)


平安前期らしく、衣紋の彫りが浅く、顔立ちにもシャープさがなく、ややおっとりしている。




五大明王像(平安時代)

明王がセットで五体そろうことは珍しい。
どことなくジャニーズのタレントを彷彿させる。



右前が降三世明王像

煩悩の根本である三毒(貧欲、瞋恚、愚痴)を降伏させるのが、この三面八臂の降三世明王。
足元には、シヴァ神である大自在天とその妃の鳥摩(うま)を踏みつけている。


踏みつけにされている大自在天と鳥摩

なぜ仏教の明王が、ヒンドゥー教のシヴァ神(大自在天)を踏みつけにしているのか?
その理由については、仏教の教えに従わなかった大自在天を降伏させたからとか、過去・現在・未来の三界を支配していたシヴァ神を降伏させたから(降三世の名の由来はここにある)など、諸説ある。           
降三世明王がシヴァ神と同じ三眼三面八臂の姿をしていることから、おそらくヒンドゥー教神としてのシヴァは降伏させられ、新たに仏教の神となったシヴァの姿が、この降三世明王なのではないだろうか。

明王の図像には宗教シンクレティズムがとりわけ顕著に現れているので、見ていて非常に面白い。          



大威徳明王像

文殊菩薩の化身と呼ばれ、青い水牛に乗っているのが大威徳明王。
六面六臂六足。
降焔摩尊とも称され、閻魔大王・焔摩天と起源が同じだと考えられる。
いかにもインド的な神様だ。



摩耶夫人像(銅造、飛鳥時代)
                                                                  
摩耶夫人(まやぶにん)が庭園を散策中に木の枝に右手を伸ばしたところ、産気づいて、(なんと)脇から釈迦が生まれたという伝説にもとづく。
夫人の脇から顔を出した釈迦が、「やあ!」という感じで右手を挙げているのが愛嬌たっぷり。


                          

阿弥陀如来坐像(鎌倉時代)
                                                                    
鎌倉仏像らしく、水晶の玉眼が嵌め込まれた秀麗な仏像。
おそらく慶派仏師によるものだろう。




十二神将立像・子神(鎌倉時代)

子神なので、頭にネズミが載っていて可愛い!
なんて生き生きとした姿だろう!
ほんとうに鎌倉時代の仏像って、優品が多い。



十二神将立像・巳神


久々に仏像を堪能できて、充実した一日だった。