2011年8月27日土曜日

東博常設展 ~工芸~

垣秋草蒔絵歌書箱(江戸時代)

蒔絵と和歌は切っても切れない関係であり、この歌書箱は古今和歌集の冊子を収めるためのもの。
古今集は聖典のように大切に読み継がれてきたのだと改めて実感。




重文・塩山蒔絵硯箱(室町時代)

絵柄と文字を組み合わせて一つのテーマを暗示する「葦手絵」(草仮名を葦の葉になぞらえたことによる)の手法を用いた硯箱。
やや分りにくいが、画中の二か所の岩に「君」と「賀」の文字が隠されていて、古今和歌集の賀歌「しおのやま さしでの磯に住む千鳥 君が御代をば八千代とぞなく」をモチーフとしている。
日本人好みの心にくい演出だ。



国宝・尾形光琳《八橋蒔絵螺鈿硯箱》

『伊勢物語』の第九段、三河国八橋の情景を描いたもので、『八ツ橋図屏風』と同じ意匠でつくられた。
さらに同じデザインの櫛もあったらいいなと思ったりもする。



伝本阿弥光悦《忍蒔絵硯箱》

その名の通り、古今集の有名な和歌「みちのくのしのぶもぢずり誰ゆゑに乱れそめにし我ならなくに」をモチーフにした硯箱。
忍草の模様で表面を埋め尽くし、蓋表中央に「たれゆえに」の文字を配している。



尾形光琳・乾山《銹絵観鴎図角皿》
                    
宋の詩人、黄山谷がカモメを眺める様子を光琳が表に描き、乾山(尾形深省)が裏に銘文を記した兄弟合作の角皿。                
           



伊賀焼・伽藍石香合(江戸時代)

廃寺の伽藍石をしのばせる侘びた風情の伊賀焼の香合。
松平不昧公が愛蔵した。


  

国宝・伯耆安綱(名物童子切安綱)平安時代
              
              
平安時代を代表する刀工、伯耆安綱の作。
「名物童子切安綱」というのは、酒呑童子伝説と結びついたためだと考えられている。
天下五剣の一つとして足利将軍家から徳川将軍家、越前松平家、津山松平家へと伝来した。


以上、常設展は名品の「気」のシャワーを浴びて、パワーチャージできるエリアだった。