2012年4月22日日曜日

遅咲きの桜

4月も半ばを過ぎた週末、上野公園に行ったら、1本だけ満開の桜が。


「大器晩成」サクラ

春を告げる早咲きの桜も胸躍るけれど、葉桜のなか、ひときわ華やかに咲く遅咲きの桜って、
なんともいえない風情があっていいものです。

東京国立博物館の常設展では、この時期ならではの春らしい作品が展示されていました。

《渓山春色》 松林桂月、1935年

江戸時代に独特の発展を遂げた日本南画の近代化に尽力した松林桂月。
金箔を裏地に施した、精緻で豪華な作品でした。
松林桂月は、この展示で初めて知ったけれど、装飾性と写実性がバランスよくミックスされた素敵な絵でした。

《吉野山図》 狩野主信、江戸時代



《桜山吹図屏風》 伝俵谷宗達、17世紀

桃山時代らしい碧緑の丘に、それぞれ白い胡粉と金箔で描かれた山桜と山吹が咲き誇る風雅な下絵に、本阿弥光悦が和歌を書写した色紙が貼られています。

宗達・光悦という稀代の名コンビが生み出したこの絵は、あまり知られてないけれど、隠れた名品でした。

ただ、惜しむらくは、東博は特別展のライティングは最高なのですが、常設展の照明は特別展ほどにはこだわって施されていないようなので、この絵もかなり見えにくく、どんよりとした印象でした。
(ここに貼りつけた画像の明るさはデジカメで修正しています。)

特別展を見た後で常設展を見ると、照明の大切さをあらためて実感します。



《桜図》 広瀬花陰 19世紀、江戸時代


広瀬花陰も今回初めて知りましたが、さりげないシンプルな構図のなかに、時を経た幹から噴き出すように咲く桜の花の生命力と華やかさが表現されていて、心惹かれる絵でした。
花陰のほかの作品も見てみたい気がします。