2012年4月22日日曜日

ボストン美術館展〈仏のかたち 神のすがた〉

東京国立博物館「ボストン美術館 日本美術の至宝」展第Ⅱ部は〈仏のかたち 神のすがた〉。
ここは海を渡った仏画や仏像、春日曼荼羅などを紹介するコーナーだった。


5 《法華堂根本曼荼羅図》 8世紀、奈良時代
東大寺法華堂に伝来。日本のみならず東洋美術史的にも重要な作品で、日本に残っていれば国宝に指定されでいただろう名品中の名品。法華経(妙法蓮華経如来寿量品第16 自我偈)の如来の説法の場面が描かれていた。

唐代の山水画に倣った背景には、奥行き感があり、剥落してわかりにくいが、宝の樹に華が咲く誇るという「宝樹多華果」の様子が描写され、仏の住まう天界の様子が再現されていた。
描かれた当初は鮮やかな彩色で、夢のような幻想的な世界が映し出されていたはずだ。



8  《普賢菩薩延命菩薩像》 12世紀中頃、平安時代
5頭の白像の上に、3つの顔を持つ白像(それぞれの白像が6本の牙を持つ)が立ち、その三面の白像に普賢菩薩がまたがっている仏画。普賢菩薩の周りには四天王が取り巻いている。

菩薩の女性のように白い柔肌には艶っぽい隈取りが施され、瓔珞や法具には金銀の錐金が多用され、光背には透かし彫りのような繊細な表現で描かれた、いかにも平安末期らしい耽美的で装飾的な作品だった。



11 《一字金輪像》 13世紀初め、鎌倉時代
「一字金輪」とは、如来の最高の智慧を象徴化したもので、「如来よりも上」とされる密教で最高位の仏のこと。
気品のある理知的で端正な顔立ち、切れ長の目、無駄な装飾を排したシンプルな画面構成など、鎌倉時代の仏画の特徴を備えた優美な画で、仏の顔には当時の人々の理想の美が反映されているように思われた。



23 《弥勒菩薩立像》 快慶、1189年、鎌倉時代
奈良の興福寺に伝来したもの。修復時に見つかった胎内教の記述から、快慶による現存最古の作例とされている。
凛として立つ美しい仏像の姿には一分の隙もなく、完全無欠な造形だ。秀麗で知的な顔立ちでありながら、手足は貴婦人のように優美でほっそりとしている。水晶の玉眼を嵌め込んだ瞳は、見る者がどの位置に立っても、相手を見つめ、その内面を見通すかのように、鋭く澄んでいる。

これほど完璧な仏像が、快慶最初期の作品とは……天才ってこういうことなんですね。
ミケランジェロやベルニーニに何百年も先行して、これほど凄い彫刻家が日本で活躍していたのだとあらためて実感。
この仏像の美しさは図版ではぜったいに伝わってこないので、ぜひ実物をご覧ください!